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無事に今回も収録できました。
アレッサンドロ・バリッコの「イリアス」です。
何度か言及はしていますが、セリフや描写のうねるようなリズムは
もう少ししっかり朗読してみたかったです。
読まれる方はその辺のところも味わっていただきたいです。
さて、神様が跋扈する世界なわけですが、
バリッコ版では、だいぶそれが割愛されています。
ただ、他人とはまったくの暗闇でないにせよ、
およそ窺い知ることのできない謎の物体です。
僕ら現代人にとってはそれこそが事実として受け入れやすいので
このようなバリッコ版の「神を極限まで省略する」ことができたのでしょう。
逆にわれわれはどこからでも神を呼びおこせるような
多神教世界に入りつつあるのだということを、
もしかするとこの作品は知らせてくれているのかもしれないです。
そして、それは戦いの時だけでなく、
むしろ人々がひっそりと黙りこくってしまうようなシーンにこそ、
燦然と輝く死者の鎧に現れているような気がします。